よかったら泊まっていっていいからねって渚先輩が言ったから、ここからは皆でお泊まり会が始まった。
結さんは申し訳ないってずっと断っていたんだけど、本当はお泊まり会がしたかったようで、
優しい渚先輩の説得により、結さんも泊まることになった。
「ゆっくりしてて」
渚先輩がそう言って立ち上がる。
「どこへ行くんですか?」
「ご飯作ってくる。あ、絶対来ちゃダメだよ」
渚先輩は、私たちが手伝いに来ると分かっていたかのように、そう言って無邪気に笑った。
……渚先輩だって、疲れてるのに
渚先輩が部屋から出ていくと、部屋はシーンと静かになった。
「……心花ちゃんの猫耳」
え?
静かだと思ったらまた私の写真を見て、ふふふっと微笑んでいる結さん。
「……消してくださいってば」
そんな願いも届かず、すっかり気に入ってしまった結さんは、聞く耳も持たないのであった。
しばらくすると渚先輩が戻ってきて、ご飯ができたと伝えに来てくれた。
渚先輩からほんのり食べ物のいい匂いがする。
「海くん、海くん起きて」
結さんが菅原を優しく呼びかけるも、起きる気配はない。
…私ならビンタするのに、みんな優しいな
それを見ていた渚先輩が、ふっと微笑んだ後、大きな声でわざとらしく言った。
「ご飯だよ~~」
「今日のご飯はオムライス」
すると菅原は急にバッと起きあがって、ひとこと。
「オムライスどこ?!」
でもよく見れば、まだ目は閉じてる。
……なんなの、この子
「…あれ?オムライスの夢見てた…」
そう言って大きなあくびをひとつ。
渚先輩は笑いを堪えているのか、プルプルと震えていた。
そしてへにゃりと笑って言った。
「夢じゃないよ」



