走りながら窓の外に視線をやると、誰かが台の上に乗って、何か話をしている姿が見えた。
……結さん
大人の女性らしい笑顔で、何かを話しているようだった。
笑顔なのは結さんだけじゃない。
その周りにいる人達も笑顔で、保護者の方は涙を拭っている。
誰も嫌な顔ひとつしていない。
…さすが結さんです
結さんはコミュニケーション力が異常に高い。
しかも見た目も大人っぽくて、でも女の子らしい可愛さで、
優しい目をしているから、皆親しんだ気持ちになるのだ。
「はぁっ…はぁっ…もう…少し」
やっとのおもいで放送室につくと、1度だけ深呼吸をした。
_カチッ
《 大変長らくお待たせいたしました 》
《 ピンク団の皆様、セクシーで大人なパフォーマンスをありがとうございました 》
《退場》
私はチラッと渚先輩を見る。
…大丈夫ですね
《 次は赤団のパフォーマンスです 》
私が見たときにはすでに、先輩は浴衣を着ていた。
芸能人ほどの速い着替えに、笑いを堪える。
《 赤団入場 》