渚先輩、好きってなんでしょうか?




先輩が言った番号は…1625




…つまり1年6組。25番。




私は2組の準備室を走り出た。



そして5.6組兼用の準備室に入り、「波瀬」のロッカーを探し始めた。



…波瀬……波瀬




「あった」




急いで暗証番号を入れて、ロッカーから浴衣を取り出す。



…先輩に電話



放送室に戻ってからケータイを見ると、渚先輩の名前がずらりと並んでいた。




…たくさん電話きてた



_ピリリ、ピリリリ



私が電話をかけると、ワンコールで出てくれた。



「先輩ありました。今からグラウンドに持っていきます。」



「…生徒会長として言っちゃいけないことだろうけど、」



「窓から投げてほしい」



「…は?え、いや、はい!どっから投げれば?」



「今どこ?窓開けて」


「ここです」



放送室を出て、グラウンドからでも見えやすいであろうところまで走る。



窓を開けると、先輩が真下にいたからちょっとびっくりした。



「そこから投げて!」



誰もいないことを確認してから、真下に落とすと、「ぶへっ」と変な声が下から聞こえてきた。




先輩が浴衣に溺れてる…



でもすぐに顔が見えて、「ありがとうっ」と笑顔を向けられたかと思えば走っていってしまった。




その場で寝転びたい気分だったけど、そんなことをしている場合ではない。



ピンク団のパフォーマンスがもうすぐ終わる。



パフォーマンスはもう終盤。



もうすぐで音楽が終わってしまう。




その前に放送室に着かなければ、退場の言葉も、赤団入場の言葉も言えないのだから。



「はぁっ…はぁっ…」



全力で走っていると、ずっと聞こえていた音楽が鳴りやんだ。



「…あっ」



…速く放送室に行かないと