…あった
準備室の「はせ」のロッカー…
端から順番に名前を見ていく。
「………」
全部見終わっても、「はせ」という名前はなかった。
……え、ない?
いやいや、でも先輩が間違えるわけない。
もう一度、端から名前を確認しても、「はせ」という名前はなかった。
どういうこと…?
もう一回電話して聞くしか…
そう思ってポケットに手を入れようとしたけど、すぐに止めた。
…ケータイ、置いてきたんだった
急いでたのもあるし、これぐらいなら、言われたことを忘れることはないと思ったからだ。
……持ってくればよかった
けれどそんなことを後悔している場合ではない。
ケータイを取りに行ったとしても、赤団のパフォーマンスに間に合うかどうか…
ならここで答えを出すしかない。
“「はせ」”
この名前は、初め聞いたときからどこかで聞いたことがあると思った。
それを思い出せたらいいんだけど…
…はせ…はせ…
頭の中で、何度もその名前を浮かばせた。
……波瀬
「あーーっ」
菅原と一緒にいた男子!!
思い出した。



