黄団のパフォーマンスが終わると、マイクをオンにした。




《黄団の皆様、かっこいいパフォーマンスをありがとうございました》



私にとって、これが初めての放送。



手元にある紙を手でそっと触れる。



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ココさんへ


緊張しても大丈夫。ココさんが伝えたいことを言えばいいんだよ。


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紙にはそう書かれていた。



とても綺麗な文字のそれを書いたのは、もちろん渚先輩。




私が緊張するとでも思ってるんですか…




《黄団の皆様の太鼓の音や、力強いダンスは、ドッと迫力がありすぎて地面が揺れていました。》



《熱い想いがこもったパフォーマンスを、ありがとうございました》




先輩みたいにはできないけど、思ったことを言うくらいなら私にもできます。



私は先輩が書いた綺麗な文字を見つめて、ふっとはにかんだ。



いつも先輩の仕事の手伝いをしている、山田 心花ですよ。




……緊張なんて、しません




本当は手が少し震えていたけど、先輩の手紙を見て肩の力がぬけた。