渚先輩、好きってなんでしょうか?





《 続きまして、黄団のダンスパフォーマンスです。》



…次は黄団か



放送室へと向かう途中でそんなアナウンスが流れた。



渚先輩の出番はまだだから走らなくても時間はある。



だから窓の外を眺めながら歩いた。



《 黄団は、変人が多いと聞いておりますが、》



…変人って



私はクスッと笑う。



《 そんな黄団の印象をひっくり返すような、パフォーマンスです!》



《 入場!》



_ドドドドドッ



わっ、びっくりした…




グラウンドをキョロキョロと見渡すと、迫力のある音の正体が何か分かった。



黄団の誰かが、ひとり太鼓を一生懸命にたたいている。



迫力のある音の正体は、太鼓だった。




そして太鼓に合わせて、かっこいい衣装を着た黄団が入場する。




……すごい迫力…



窓越しからでも伝わるその迫力は、本当にすごい。




「……ん?」



いや…でもあれは、




「…菅原」



……あんな顔、できたんだ



見たこともないくらい真剣な顔は、なんだか菅原じゃないみたいだ。



一瞬見間違えたかと思ったけど、確かに菅原だ。




こんなの結さんが見たら失神するんじゃ…




そんなことを考えていると、黄団のダンスパフォーマンスで流す音楽が校舎にも響いてきた。



…音楽もかっこいい




放送室に着くと、古びたドアを開けて中に入った。



「ココさん…お疲れ様」



私に気づくとそう言ってへらっとした笑顔で笑ってくれた。