渚先輩、好きってなんでしょうか?



……え



ゆっくりと目を開けると、その子は嬉しそうに笑っていた。



「ありがとう!ポニーテールしてくれて!」



…あんなこと、言ったのに



「ちょっと無理言っちゃったかなって、気にしてたんだ」



ひどい言葉を言ったのに。



その子は私を責めるどころか、ありがとうと言ってくれた。



…どうして?



みんなで同じことをするってこと、理解できなかった私のことをバカにしなかった。




ひどいことを言ったはずなのに、何もなかったかのように話しかけてくれた。




ありがとうと言ってくれた。



そんな人だってこと知らなかった。




当たり前だ。




ちゃんと知ろうとせずに、面倒くさいと言って諦めてきたのだから。




「わたし、ひどいこと言った…ごめんなさい」



クラスメイトとこんなに長く話したことはない。




「本当は…私もポニーテール…したかった…面倒くさいなんて…思ってない…」



慣れてないせいで話し方がぎこちない。



「ヘアゴムなくて…自分で結べなくて…」



話しているうちに、どんどん声が小さくなってく。




「えぇーっ、なにそれ!言ってくれれば貸すし、結ぶよ!」



それでも最後まで話を聞いてくれて、おまけにそんな優しい言葉をかけてくれた。




「これからはちゃんと言ってよ!友達なんだから!」




……友達…



いつ友達になったのだろうか。



分からないけれど、この響きは嫌いじゃない。



むしろ、




嬉しかった。