先輩は常にポーチを持ち歩いているらしく、その中には化粧品や日焼け止め、
ヘアゴム、ピンなど、ザ、女の子ぉっ…というものがたくさん詰まっていた。
…私の女子力の無さは、気にしないでおこう
あ、そういえば…
「私の髪、そんなに長くないのにポニーテールできるんですか?」
クラスの子が短いから大変だぁーって半泣きになっているのを何度か見かけたことがある。
「ん~、短い毛は出ちゃうと思うけど、ピンで止めていいかしら?あと、ケープを…」
…ケープ?
なんだそれ。
「あ…お任せします」
私が聞いても分からないので、結さんにとりあえずお任せすることにした。
先輩に髪を触られていると、不思議と落ち着く。
…少し照れくさいけど
先輩はあっという間に私の髪を結び終えた。
でもひとつ、気になることがある。
「あの…ここ出てますけど大丈夫ですか?」
顔の横に出ているこの髪の毛は短くて結べない髪なんだろうか。
「あぁ、わざと出してるの、触覚かわいいでしょ?」
「…触覚」
…触覚とは?
虫の触覚…?
なるほど、結さんは虫好きか。
「私もほら」
結さんはそう言って、自分の触覚をくるりと指で回した。
…確かに言われてみれば可愛い気もしてくる
それに結さんは、何をしていても可愛いし綺麗だ。
「…可愛いです」
私が微笑むと、先輩はポッと頬を赤くした。



