好きなように生きるって、
命はひとつしかないって、
先輩いいましたよね。
難しいことは分からないけど、
先輩ならきっと、
「む、結さん」
仲間に少しくらい頼ったっていいんだよ
って、そう言うんですよね。
私がひとりで荷物を運んでいた時、
シャーペンを忘れて困っていた時、
先輩はいつもそう言った。
「そのヘアゴム…もし余ってるなら…貸してくださいっ」
顔も見れずに俯いて、本当かっこわるい。
「いいよ、結んであげよっか?」
でも先輩が優しい声でそう言ってくれたから、私は顔をあげることができた。
「いいん…ですか?」
「もちろん」
「心花ちゃん、前に結ぶの苦手だって言ってたから。後ろ向いて、何がいい?」
クルリと結さんに背中を向けた。
…顔、見られなくて良かった
「じゃぁ…先輩と同じのがいいです…」
嬉しくて、優しくて、あたたかくて、
きっと目と頬が赤いから。



