「渚は真面目よね」



結さんは、ふっとはにかんだ。



同じこと考えてた。



「…そうですね」



私はパンを一口かじる。



今日のグラウンドは本当に暑い。



おろしている髪の毛が暑い。




結さんはポニーテールをしていて、なんだかさっきのことを思い出してしまう。



…ポニーテール



「……」



結さんの手首にはひとつヘアゴムがついていて、思わずじっと見つめてしまう。



…使わないのかな



いや、…いやいや、



なに考えてるの私。



そんなの…今さら…




「心花ちゃんどうしたの?」



…じっと見すぎてた



「…な、なんでもないです」




“『呆れるくらい毎日、好きなように生きて、面倒くさくても生きて、』”




“ 『命はひとつしかないんだよ』 ”




渚先輩。



私があのとき、



クラスメイトにヘアゴムがないって正直に言っていればよかったって、


後悔する日がくるんですか。




結さんにヘアゴムを貸してくださいって、


ポニーテールしてほしいですって言えば良かったって思う日が、くるんですか。




私が今まで面倒くさいって言ってきたものすべて、



本当は大切なものだったんですか。