渚先輩、好きってなんでしょうか?




。°。*。*°*



「………」


「…ココさん」


先輩が手のひらを私に向けてへらっと笑った。


…すごい手汗…


「…お疲れ様です」


_パチン


私は先輩の手に自分の手を合わせた。



気づけば窓の外はすっかり真っ暗になっていた。


…うわ…


帰りたくなくなるくらい真っ暗。


いっそここに泊まりたい。


ここで暮らしたい。




「…ふぅー…」



いつもならすぐ帰る支度を始める先輩も、今回ばかりは疲れたのか、動く気配がない。



「…さー、帰ろっか…」



「そう言いながらも、全く動いてないですよ…」



「ココさんもね」



先輩は前髪を止めていたピンを取ると、やっとリュックを手に取った。



ふわふわの前髪が揺れて、元の位置に戻ると、癖がついたのかピョンッとはねている。



私はそれを、机に顔を乗せながら見ていた。



…気づいてない



「…ココさん帰るよー」




ぼーっとしているうちに、先輩は電気を消すぞと言わんばかりにボタンに触れていた。



「……はーい…」



重たい体を動かして立ち上がると、リュックを背負った。




職員室に鍵を返しに行くと、先生がお疲れ様と言って微笑んだ。




鍵を返しに行くと言っても、鍵を持っているのは先輩で、私は一緒についていくだけ。




先生と話すのがめんどくさくて、先輩の後ろにヒョイッと隠れた。




渚先輩と…あと、生徒会の人以外と話すのは、私にとって面倒だから。




先輩は丁寧な言葉で先生と話をしてから、やっと職員室のドアを閉めた。



…やっぱり先輩は真面目