気を抜いていた。
本当は昨日のことがずっと頭の片隅にあって、先輩が言った言葉の意味も考えてしまうのだ。
「…あるわよ?」
「母に熱をはかってもらうときに、何度かされたことがあるわね」
結さんのその言葉を聞いて、私のモヤモヤが少し晴れたような気持ちになった。
「やっぱりそうですよね!」
やはり私の予想は当たっていたんですね。
“ 『ココさんにとっては、めんどくさい感情なんだろうな』 ”
…となるとこの言葉の意味は…
つまり、“渚先輩が私を、自分の子供のように扱うのが、私にとって面倒なんだろうな”
と、こういう意味になります。
はぁ…これで謎は解けました。
「ただ、…状況と人によるわね」
…状況と人?
「だって心花ちゃんが元気なときに、急に熱をはかるのっておかしいもの」
言われてみればそうですけど…
「…誰にコッツンされたのかしら?」
結さんが自分のおでこをツンッと指でつついてそう言った。
それは、
「……な」



