真っ直ぐで、なんの濁りもない瞳。
だから思わず、目をそむけたくなった。
「…そう…ですか」
私にはない、純粋な心。
私は先輩から目を逸らした。
「でもありがとう」
「ココさんは、俺を心配してくれただけなんだよね」
先輩はそう言って、私の頭の上にポンッと手を置いた。
優しくて、大きな手。
「…別に…吸入器どこですか」
今は先輩の体が心配だ。
「生徒会長~~ここどうしますか~?」
遠くから先輩を呼ぶ声がする。
渚先輩はとても頼りにされている。
生徒からも、先生からも。
「あっ、ちょっとまっ…」
「先輩」
「いい加減、怒りますよ」
…先輩に嫌われたっていい
だって渚先輩は分かってない。
いつも無理ばっかりして…
私が先輩の腕をグイッと引くと、先輩はふっと笑った。
は?!
なに笑ってるんだ、この人は…
「わかってる」
先輩はそう言うと、先生に体調不良だと伝え、少しの休憩をもらった。



