先輩は額の汗を拭いながら、キョロキョロしている。



「えーと、どうしようかな…とりあえず結さがしてくる」



よっぽど忙しいのか、珍しく焦っているようだった。



先輩、息上がってる…



「わたし探してくるので、しっかり水分とって少しは休憩してください」



「ありがと……っ…」


「先輩!」



…嫌な予感がする



「吸入器どこですか」


「…っ…大丈夫…」



先輩は喘息をもっている。



なのに頑張るから。


くそ真面目だから。



私みたいにめんどくさいって言わないし、




「大丈夫じゃないんですってばっ」



すぐ大丈夫じゃないのに大丈夫って言うから。



だから…




「いろいろ、もっと適当にやってください」




適当に、ほどよくやればいい。




感情的になって少し強い口調でそう言うと、先輩は真剣な瞳で私をじっと見つめた。




「…今年が最後の体育祭準備で、もう二度と戻ることのない今だから」




「だから適当になんて、絶対できない」