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そしてまた、今日も先輩と一緒の帰り道。



さっきまでオレンジ色だった空も、もう今は薄暗くなっていた。



「体育祭、ココさんは何に出るか決めた?」



駅に向かっている途中、先輩からそんな質問をされた。



そう、私たちにはもうすぐ体育祭という面倒な行事が待っているのだ。


こんな暑いときに…



そんなの、


「…何にも出たくありませんよ」



「その選択肢はなしです」



「…じゃぁ」



一瞬だけ、自分がリレーを走ったり、借り物競争をしたりしているところを想像したけど、すぐに止めた。



…キャラが崩壊するし、違和感しかない



「先輩は何するんですか?」



質問から逃れるために話をそらした。



渚先輩は、すぐに質問に答えてくれた。


「放送」



…先輩が放送



様になりすぎて全く違和感がない。



しかも放送は冷房のついたところだし、座っていられるから何かやるなら私も放送がよかった。



「じゃぁ私その隣で見守る人」



なんて冗談を言ってみる。



「いいよ」



「ですよね…って…え?」



今、いいよって言った?



「席はずす時あるから、補佐で」



あまりにもすんなりと決まったから、頭がついていかない。



「俺は午後担当で、午前は結」



「もう一人いるんだけど、結の方に回した」



「結に何かあったとき、俺かけつけてやれないから」



…真面目で、プラス優しい




「…それに…俺の補佐は、ココさんの役目でしょ」




先輩は私の目を見ずにそう言った。


なんだか少し、照れているようにも見える。



確かに先輩の仕事を手伝うのは、なぜか副会長の結さんではなく、私が多い。




それは結さんが忙しかったり、私が暇で放課後よく残っていたりするからなんだけど…



「……ふーん」


頼りにされてるなら、まぁいいか。




「…あっつ」


「ですね」



あぁ、照れたように見えたのは、



暑くて頬がピンク色になってたからか。




…夏だもんな