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図書室に着くと、あらゆるところに目を配らせながら歩き始めた。
椅子の下を見てみたり、本棚の隙間を覗いてみたり、
そんなことをしていると、私より先に図書室で勉強していたり、本を読んだりしている人たちに、じっと見つめられた。
……人の目がたくさん
本当はこんなことをするより先に、もっと便利な方法がある。
だけどそれは、私にとって大の苦手なものだった。
「……仕方ないか」
小さな声でそう呟いて、決心する。
「あの…」
近くにいる女子ふたりに聞いてみることにしよう。
「この図書室でハートのストラップ…見ませんでしたか?」
私がそう問いかけると、女子ふたりは顔を見合わせて「「見てないです」」と声をそろえた。
「…そうですか、ありがとうございます」
私はお礼を言うと、またゆっくりと足を進めた。
ハートのストラップ。
真剣に探しているが、これは私のものではない。
この学校には、生徒会ではない生徒が、
悩みや、もっと学校をこうしてほしいなどの意見を入れることのできる生徒会ボックスというものがある。
それに入っていたのが、“ハートのストラップを探してほしい”という悩み?だった。
…悩みというよりは落とし物のような気もするけど
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生徒会の皆様へ
本当に大切なものをこの学校のどこかに落としてしまい、ずっと探しているのですが見つかりません。
初めて付き合った彼と初めておそろいで買ったハートのストラップです。
ハートの中に、私のイニシャルの「 I 」が入っているストラップです。
生徒会の皆様なら何か情報があるのではないかと思い、書かせていただきました。
見かけたらどうか教えてください。
1年6組 花宮 泉より。
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