「ここ、ちょっとクーラー効きすぎて寒くない?」
ここに入ってきたばかりの時は分からなかったけど、言われてみればちょっと冷えすぎてる。
そう思うなら温度上げればよかったのに。
そう思うけど、渚先輩のことだ。
皆が暑いとかわいそうだから、自分だけの判断で温度を上げたりしなかったのだろうと、そう思った。
…いったいこの人はどこまで真面目なんだ
「温度上げますね」
そんな先輩の代わりに、私がリモコンを手に取る。
温度を上げようとしたとき、びっくりして固まってしまった。
なんじゃこれ。
「…先輩、17度設定になってます」
「…え、」
これには先輩もだいぶ驚いているようだ。
「私は今、命の危機を感じています」
これには、思いあたることがある。
「絶対あいつですよ、バカ菅原」
昨日、たまたま生徒会室のとじまりが菅原と二人っきりになったときのこと。
『あ、クーラー消して、ついでにリモコン元の位置に直しといてくれる?』
他の片付けをしていた私は、
菅原にリモコンを元の位置に直してほしいとお願いしたのだ。
確かその時…
_ピッピッピッ
…ん?
なに、この音
片付けをしていた私は、そっちに視線を向けずに質問をした。
『なにしてんの?』
今思えば、これがダメだったのかもしれない。
『ん~、なんかボタン間違えたみたい』
きっと菅原は、クーラーの停止ボタンと間違えて温度を下げ続けていたのだ。
『…え?なに?』
_ピッ…
『あっ、止まった止まった~』



