渚先輩、好きってなんでしょうか?



「おー…涼しい…」



生徒会室に入って一番の感想はそれ。



夏は涼しいし、冬は暖かい。



教室もクーラーはあるけど、生徒会室ほど涼しくはない。



教室によっては日光がめちゃくちゃ入ってくるし…



「クーラー効いてるからね」



そう言うのは渚先輩。



今日も何かの紙とにらめっこしてるみたいだ。



私がじっと見ていたからか、渚先輩は顔を上げた。



「どうしたの?」



…なんか先輩の顔みると…




「今日も私のつまらない話、聞いてくれますか」



…言いたくなっちゃうんだよなぁ



「いいよ~、今日は本当は集まらなくていいくらいなんだよ」



渚先輩は何かの紙を引き出しにしまった。



ほら、この前はめんどくさそうにしてたけど、忙しくないときは嫌な顔ひとつしない。



「でも副会長もいましたよね」



「さっき菅原も見ましたよ、激しい忘れ物して取りに行きましたけど」



集まらなくていい日にしては、集まりすぎなのでは。



少し面白くて笑いを堪える。



「あはは、そうなんだ?」



「…なにもないって日も、なんとなく来ちゃうんだよなぁ」



渚先輩はそう言って、照れたように笑った。



「…分かります」



みんな何も言わないだけで、きっとそうだ。



ほとんど毎日集まってる理由は、みんな同じなのかもしれない。




「…ところで先輩、夏なのにセーターって暑くないですか?」



私だったら暑すぎてぶっ倒れる…