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「…ちゃん、」



「……心花ちゃん」




…え




誰かが私を呼ぶ声がして、ハッと目が覚めた。



どうやら、作業の途中で眠ってしまっていたらしい。




ぼーっとした頭でそんなことを考えて、顔をあげると、そこには懐かしい人がいた。




「……結さん」




声に出してみてもやっぱり懐かしい気がして、私を見つめる優しくて可愛らしい笑顔もまた、懐かしかった。



私が名前を呼ぶと、ふっとはにかんでくれた。




「…久しぶりね、心花ちゃん」




「とても会いたくなって、息抜きに来ちゃった」




その笑顔を見るとホッとして、思わずふっと肩の力が抜ける。




「……お久しぶりです」




そういえば私が作業していたものが、机の上のどこにもない。



…どこにいったんだろう




そう思っていると、結さんが「あぁ、」と何かに気がついたように言った。




「あれならもう職員室に持っていったわよ」



…え



「あれ、まだ途中で…」



「あと少しだったから私がやっておいた」


「お疲れ様」



結さんはそう言って、可愛らしくウインクをした。




…なんかこの安心感…



「…ふっ…」



私が微笑むと、結さんは少しだけ目を丸くした。




「…懐かしいです、すごく」



「たった数日会えないだけで、こんなに懐かしく感じるなんて、」




「思ってもみませんでした」




死のうとしていた頃の私なら、きっとこんな感情なんてとっくになくて、



傷心や疑問さえもどうでもよくて、




懐かしいなんて言葉も、感じることはなかった。




寂しいと、思うことも、




私にはすごく新鮮で…




「…よかった」




「感じることは、すごく大切なことなのよ」