「あ!」
菅原が何かいいことを思いついたように、そう言った。
「今から一緒に会いに行こーよ!ねっ」
私の服をクィッと引っ張る菅原は、まるで散歩に行きたいと言う犬みたい。
きっと菅原の飼い主になった人は大変なのだろう。
それに、そう言ってくれるのは嬉しいが、
忙しくて生徒会室に来られていない先輩たちの、進路の邪魔をするのはやっぱり気が引ける。
…でも、寂しい
なんだこれ。
気持ちがぐわんぐわんして、心と体が違うことを指示しているみたい。
「ねっ、こーちゃんってば~」
たまには会いに行ったら…って、菅原が言ってくれたのはすごく嬉しかったような気がする。
…けど、
私が寂しいというだけの理由で、
先輩たちの邪魔をしていいものなのか…?
あー、
なんかなにが正解か分からなくなってきた。
「行かないの~?」
わんちゃん、ちょっと1回整理させて。
「…ごめん、行かない」
私がそう言うと、わんちゃんは眉を下げて、うるうるとした瞳で私を見つめた。
「なんで~」
なんで…って、
「…なんでも」
…私は知ってる
渚先輩は何かやらなくちゃいけないときとか、大事なことをしているときは、
寝ないで頑張ったり、ぼーっとしてたり、
……体調、崩したり
結さんは、スラスラこなしているように見えるけど、本当はいっぱい悩んでいたり、
それを表には見せないから、溜め込んだりしないか心配。
だから私なんかに時間をかけている場合ではないのだ。
だから…



