菅原に言われなくたって分かってるし。
なんなの。
「こーちゃん」
「寂しかったら、寂しいって言って」
菅原の優しくて真剣な瞳が、私を見つめている。
「泣きそうだよ?こーちゃんずっと」
泣きそうな顔なんかしていない。
「………」
してない。
それなのに、いつの間にか私はポツリと呟いていた。
「……寂しい」
痛い、心が痛い。
息がうまくできない。
何かが壊れていくって自分でも分かる。
自分がこんなに弱いなんて、
知りたくなかった。
「毎日はだめでも、たまにくらい会いに行ったっていいんじゃないかな?」
菅原はそう言ってへらっと笑った。
そして私の頬をムニッとして、口角をあげた。
「俺、こーちゃんが笑顔だと嬉しい!」
……なんだそれ
「……いひゃい」
「え?なんて?」
菅原がほっぺ掴んでるから、うまく話せないんだってば。
「ふふっ」
「あ!笑った~!」
私が少し微笑むだけで、嬉しそうに笑う菅原。
「……うるさい」
そう言いながらも、心はさっきより全然痛くなかった。
こんなどうしようもない人間のこと、菅原にやつあたりするような人間のこと、
菅原は優しく励ましてくれた。
「あひがとふ」
…ありがとう
「え?なに?」
だからほっぺ離してくれないと、うまく話せないんだってば。
ほんと、バカだなぁ。
バカで優しい後輩を見て、私はふっと微笑んだ。



