渚先輩、好きってなんでしょうか?




夕方になって、空がオレンジ色になり始めたとき、ようやく作業が終わった。



「…お疲れ様」



私がそう言うと、菅原はにこっと笑って、



「お疲れ様のハグー!」



と言って、私に抱きついてきた。




…暑い




普通の人だったら、カップルでもないのにって思うかもしれないけど、



これが菅原の通常運転だから、なんとも思わない。




「…暑苦しい」



「えへへっ」




なんだかんだ、弟みたいで可愛い。



うるさくて腹立つときもあるけど、大切な仲間だ。



「じゃ、電気消すよ」


「はーい」



職員室に行って、ホッチキスで止めたプリントと、生徒会室の鍵を返した。



「もう終ったの?いやぁ~、ほんと助かりました。ありがとう」



先生は安心したように微笑んだ。



きっと明日にでも必要なものだったのだろう。



「はい」



ありがとうと言われると、頑張りを認められたようで、少しだけ嬉しかった。




…まぁ、面倒なのに変わりはないんだけど




普段は渚先輩が職員室に入って、できあがったプリントを渡したりするから、



私は外で待っていたり、先輩の後ろに隠れているだけ。




だから直接、目を見てありがとうと感謝されるのは、初めてに近いのだ。