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その日は当然やってきた。覚悟は出来ている。私の、嫌私たちのデビュー戦。絶対に爪痕を残して勝つ。
会場はいつものPURI PURIの3階、いつもの貸しスタジオの何倍も広い。学生バンドマン達が集まって密集している。異様な熱気だ。この空気感に飲まれてはいけない。自分たちのやって来た事を信じるしかない。そこには久間くんも花形くんもアイナもいる。あの天才達を倒さないといけない。それどころかここには2年生も3年生もいる。勝ちたい。私の表現で私の世界で結果を残したい。私の心は今冷たく燃え上がっている。
「ひめちゃん」

「あ、おはよう」

「結構人いるね、久間くんもいるね、ヤバイ緊張がヤバすぎる」

「うん、私もヤバイ」

えみちゃんはずっと胸を抑えていた。

「でもやるしか無いよね」

「うん、青田さんと白石さんはまだかな?」

「どうだろう?まだ見てないな」

「あ、いたいた!」

入り口の方にいた二人に手を振る。向こうも気がついて手を振り返す。揃った、あとは順番を待つだけ。とりはプラチナ。さすがだ。早く彼らに追いつきたい。
白石さんは久間くんに話かけにいった。私は遠くから見守っていた。ここには今音楽付きの高校生が集合している。私の脳内では緊張と興奮が入り混じる。