君はロックなんか聴かない

早速スタジオに集まった。機材を合わせてくる。

もう楽しい。音楽はこうでなくてはならない。

ドンドンとドラムがスタジオ内を響き渡る。

弦隊も弾き始める。私も歌いはじめる、スマホで歌詞を確認しながら、心を込めて歌う。悪くない。悪くない。

「良かったんじゃない?」

「うん、うん」

「いい曲だよね」

「私のベースあってた?」

「これとってもいい?」

「うんじゃあスマホここにおくよ、もう一回やってみよう」

「うん」

私たちは気にいるまで何度も何度も生まれたてのその新曲を弾き続けた。これが音楽、これが私たちの世界。完成したらレコーディングをしてみたい。私たちは確実に一歩を歩き出している。

「うん、いいよ」

「この曲でライヴ出るん?」

「うん、あと何曲か考えてる、それはもう少しかかりそうだけど」

「え、なんか凄いね、ひめちゃん」

「うん、何か今冴えてる」

「凄いね、バンドフェス楽しみだね」

「うん、楽しみ」

これならあの人たちに近づける筈。あの人たちの背中に少しでも近づきたい。いい音楽で感動させたい。音楽は武器にもなる、そして音楽は救いにもなる。戦って戦って誰かに届かせて、誰かを救うそんな音楽を作りたい。