君はロックなんか聴かない

週末はすぐに訪れた。

店長は今日もイカツイ。花形君のギターケースは大きい。持ち運びが大変そうだ。

「お疲れ様」

「お疲れ様、すごい荷物だね」

「うん、エフェクターが入りきらなかったんだよね」

「そっか」

私たちはスタジオに入る。

「なんか緊張するな、女子高生と密室で二人きりなんて」

「そうだね」

静かなスタジオに沈黙が流れる。

私たちは楽器の用意をする。目は合わない。

花形君はリフを弾き始める。何の曲だろう、オリジナルだろうか解らない。私もギターを弾き始める。大好きな椎名杏を弾き始める。

花形君は一瞬顔を上げて、私のメロディーに合わせてくる。相変わらず凄い。あくまで主役は私、全く主旋律を邪魔しない。凄い。私はこの人を超えないとならないのか高い目標にしすぎたのかもしれない。今更不安になる。

「早速曲をつくてみる?」

「う、うん」

花形君は徐にスケッチブックを取り出した。そこには鮮やかな海が描かれていた。そしてギターを弾き始める。そして歌い出す。いいメロディだ。

そして首を傾げる。

「うーん、なんか違うな」

「そう?よかったと思うよ」

「そう?よかった?」

そしてまたギターを弾き始める。

「どう?」

「いいと思うよ」