私は自販機で飲み物を買った。

ガタンと音をたてて飲み物が出てくる。

ふうと一息つく。

「楽しいね」えみちゃんが言う。

「うん」白石さんが答える。

私も遠くから見ていた。

「白石さんは前にもバンドやってたの?」

「ううん、バンドは初めて」

「そうなんだ、でも上手いね」

「そんなことないよ」

「いや、すごいよ、私には出来ない、手と足全部バラバラの場所動かせてるし」

「うん、ありがとう」白石さんは嬉しそうだった。

「ひめちゃんもすごいよね、ギター弾きながら歌って、ノーミスだったし」

「ありがとう」

「でも、ライブとかするの?」白石さんが言った。

「う、うん、その予定、だよね、ひめちゃん」

「う、うん」

「そっか、バンドフェスはどうするの?」

「バンドフェス?」

「うん、8月の高校生バンドフェス、たぶん何組か演奏出来るよ」

「そうなんだ、出たいね」

「いいね、出よ!バンドフェス」

「たぶん久間くん達も出るって言ってたよ」

私は無意識でえみちゃんと目を合わせた。

「そっか負けられないね、ひめちゃん」

「うん、やろう」

私の鼓動は強く熱く高鳴っていた。

8月のバンドフェスまでには仕上げよう、いい目標が出来た。