世界が変わった。180度反転したようだった。

音楽を通じてありきたりだった世界光が満ちた。

何も無いコップの水に絵具を零した様に、私の国に色味を帯びた。

私はメンバー募集用のチラシを丁寧に手書きで作ってた。

かわいいイラストを添えて。これを明日学校とスタジオに貼らせてもらう。早くメンバー集まるといいな。私も久間君たちのように自分の宇宙を作りたい。それが出来たらどんなに幸せだろう妄想で顔がにやける。

明日が楽しみだ、不安と興奮が入り混じる。

「ひめ、ご飯食べないの?冷めちゃうよ」

「はーい、今行く」

今日の晩ご飯は何だろう、私はチラシを仕上げてリビングに向かう。リビングにつくと弟はすでに夕食を食べていた。今日の晩ご飯は焼鮭だった。美味しそう。

私は席について、箸でシャケをつつく。

「姉ちゃん、どうしたの?」

「え?何が?」

「なんか一人でニヤニヤしてるから、気持ち悪いよ」

「うるさいな、あんたには関係ないよ」

弟が話し掛けてくれるのは珍しい、私の顔はそんなに緩んでいたのか、家族とはいえ少し恥ずかしい、学校では絶対出さないようにしないとまずい。

そんなことを考えながら、私は味噌汁を飲み干す。

「ごちそうさま」