君はロックなんか聴かない

ドラムのカウントが始まる。

ギターの音ベースの音が入ってくる。弾けてる。あれだけで形になってる。

私も歌い出す。久間君も歌い出す。

また宇宙が動き出す。凄い。私にもまた作れるだろうか、この空間に永遠に包まれていたい。幸せだ。本当に幸せだ。

歌もギターも凄く楽しい。花畑の中でシャボン玉に包まれてる。

いつまでもいつまでもこの中にいたい。

しかし幸福の時間は長く続かない。

曲も終わってしまった。

沈黙が流れる。

「よかったね」久間君が話しだす。

「なんか弾けた気がした、花形君凄いね、教え方めっちゃ上手い」

「そう、ありがとう、でもセンスいいと思うよ」

私達はその後も何時間もギターを弾いて歌い続けていた。幸福だ。

私は喉が渇いた。外に出た。休憩所に入ると息が出来た。やっと呼吸が出来た気がした。

そこには私の制服を着た女子高生がいた。煙が香る。タバコを吸っているらしい。何だこいつは、相手も私の存在に気がついた。お互いに一瞥する。それ以上は何もない。

私は自動販売機で飲み物を買っていた。久間君も出てきた。

その女は久間君のこともジッと睨んでいた。態度が悪いな、久間君も不思議な顔して自販機に近寄る。

「知り合い?」

「ううん、知らない?」

「めっちゃ睨まれたんだけど」

「私も」

私たちは女を気にしながら部屋に戻った。

その後もそんな女のことは忘れて知ってる曲のコピーをし続けた。
楽しかった。

「2人はバンドするの」

「うん、したい」

「じゃあメンバー集めないとね」

「ドラムがみつからないよ」

「掲示板に貼ればここと学校に、そしたらすぐ見つかるんじゃない?」

「掲示板?いいね、それやってみる」

まだ心臓は強く早く波打ってた。しかし時間は来るもの学生には門限がある。
私たちはギターを返して、また来ることを約束してスタジオを後にした。