君はロックなんか聴かない

授業終了の鐘がなった。

結局私はどこか上の空で授業は一日中頭に入ってこなかった。

早くスタジオに行きたい、一体どんな世界なんだろう、どんな空気だろう、みんな音楽好きなのだろ、どんな人があるだろうか、運命の人はいるだろうか、早く行きたい。

私は妄想に吹け込み呼吸すら忘れていた。

「姫香ちゃん!」

須藤さんだ、私は慌てて息を吸う。

「私も行きたかったなぁ」

「ごめんね今度は前もって言うね」

久間君がカバンを肩にかけて言う。

私は教科書をカバンに詰め込む。

「よっし、行こうか」

私たちは沢山の生徒の中をかき分けて駐輪場に向かう、まるで物語の主人公になったように特別な感じがしていた。幸福とはまた違う高揚感。

胸が昂る。

胸を抑えなくてもドキドキしてるのが分かる。

廊下がいつもより短く感じた。

「お疲れ様、あれ、女の子も行くの?」

大町君だ

「そうだよ、俺が誘った」

「いいね、楽しいよ」

「楽しみ」

「でも、お前、付き合ってるんじゃ無いんだよな」

「いや、付き合ってないよ、そんなすぐ無理だろ」

久間君が慌てて答えた。

「そっかそれならいいんだけど、ほら、付き合ってたら気を使うだろ」

「いや、お前そんなタイプじゃ無いだろ」

そう言って久間君は大町君の肩を軽く叩いた。それを見て私たちは笑った。でも久間君は私達のことどう思っているのだろう