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スタジオに入り、メンバーの前で新曲の発表をした。
「どう?」
「うん、いいんじゃない」
「うん、私もいいと思う」
「この歌詞ってどう意味?」
「この歌詞はある人のことを思って書いたんだよね」
「そっか、なんか力強い歌詞だね、私凄い好きだな」
「そっか良かった」
「とりあえず合わせてみようか、文化祭でやるんでしょ?」
「うん、文化祭で聞かせたい人がいるんだ」
「久間くん?」
「久間くんもそうだね、でもそれだけじゃない」
「そう、とりあえずやってみますか」
「うん、そうしよう」
私たちは演奏を始める。チグハグな音楽が流れる。完成はまだ遠いようだった。
「ドラムはこんな感じでいい?」
「う、うん、いい感じだと思うよ」
「ベースはどう?」
「うーん、ちょっとイメージと違うかな」
「え、あ、うん、そっか、こんな感じはどう」
「うん、うん、そう!そん感じがいいと思う」
「いいね、ちょっと合わせてみようか」
「うん」
私たちは順調に新曲を制作していた。少しずつ成長していく我が子に優しい青春を感じていた、きっとえみちゃんも青田さんも白石さんも、真剣にそして楽しんで汗をかき、大切な1日を走り抜けていた。