プロデューサーと枕営業疑惑。そんなことどんな人が書いているのだろ、彼女はきっとすごく悔しくてそしてすごく悩んだのだろう。何故か私も涙が出てきた。花形くんも多分すごく悔しかったはずだ。私は耐えらえるだろうか、私は好きな音楽をやりたい。そして誰かを救えるような音楽を作りたい。その為には苦しい事も乗り越えないといけない。私だけじゃない誰かの為に。私はシャーペンとルーズリーフを取り出して歌詞を書き始める。今の素直な気持ちをそのまま書き連ねる。字は汚いが勢いのまま、誰かの為に守りたい人たちの為に、大切な人を思い浮かべながら。涙を流しながら。
「ひめ!ご飯食べないの?」
「まだ!」
「冷めちゃうよ」
「うん、もう少ししたらいく」
今のこの感情を忘れたくなかった。母には悪いがこれを完成させないといけない気がした。今しか書けないと思った。スマホがなっても関係ない、集中して終わらせる。誰かを守る歌。今までの独りよがりの曲とは違う曲。私にしか書けない曲、ほぼ殴り書きのような状態で書き連ねる。ざっとベースは完成した。

題名は「未来」仮

完成した未熟の歌詞を握りしめて読み直す。手で何だを拭ってリビングに駆け下りる。
「今日の晩ご飯何?」