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「かっわい────っ!」




ふれあい広場に入り、うさぎを見つけて喜ぶ私。

その横で、堤くんはモルモットをつついてる。




「佳世ちゃんって、動物ならなんでも好きなの?」




私がうさぎを抱き上げた時、堤くんがそう口にした。




「ん―、だいたいはね。でも猫はダメ。苦手っ」



「へ?そなの?」




こくっと頷くと、堤くんは意外そうな顔をして小さく“へぇ”と呟く。

だって怖いんだもん、猫…

あのランランと輝く眼が怖いんです。

そう話すと、堤くんはクスクス笑い出した。




「な、なに?」



「や?可愛いなーと思って」



「……っ、だ、だから…!」




堤くんはお世辞が上手。

前までの私なら、
“え?動物が?可愛いよね”
とか素っ頓狂なことを聞き返してたはず。

でも、今はわかる。

あの“可愛い”は私に向けられた言葉だって。

私が視線をうさぎに落とすと、それまでモルモットをいじっていた堤くんがパッと立ち上がった。




「もー…限界っ」




こう言いながら。