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思わず切ってしまった携帯電話を見つめながら、私はふるふると首を横に振った。




「佳世?どしたの?」



「………わかんない……」




最後に堤くんが言った


『俺のこと好き、とか?』


って言葉が頭から離れない。




口を真一文字に結んで俯いていると、雑誌を見ていた凌がそれを閉じて近づいてきた。




「謙吾に何か言われた?」




その問いに首を横に振って答える。


言われたには言われた、けど……

これは私が自分で見つけなきゃいけない気持ちだから。




「……まあ、いっか。ある程度、自分の気持ちわかったんじゃない?」



「………っ」




それは否定できないで、俯いていた顔を上げてしまった。

だってさっき電話してた時、私の心臓はいつもより二倍速って感じだった。


それはつまり、そういうこと。




「わかったんだ?」



「…た、多分………」




そう言うと、凌は満足げに頷いてにこっと笑いかけてきた。