「………い…」



「い?」



「……今池秀弥………」




ボソボソッと紡がれるのは、さっき初めて会った堤くんのお友達の名前。


そういえば……

秀弥君が来てからかも…凌の様子がおかしくなったの



私が黙ったままでいると、ボフッとクッションが飛んできて。




「はわっ!」



「何か言ってよ!」



「ご、ごめんっ」




凌を見ると、恥ずかしそうな瞳とぶつかる。


……………




「しのぐーっ!!」



「きゃぁっ!何よ!」



「可愛すぎだよー!」



「はぁっ!?」




ぎゅーっと抱きつくと、凌は嫌そうに顔を歪めた。


でもでもでも!!


こんな可愛い凌、見たことないっ!




「大丈夫!凌は可愛いからっ!」



「……な、なによ突然」



「えへへ~」



「まったく……あんたと話してると、悩んでるのが馬鹿みたいだわ…」




そう言いながら、凌は抱きついたままの私の頭を撫でてきた。


なんか、気付いたらいつもの凌に戻ってるみたいで。


何にせよ、よかった、かな。