────────
───…
「は?私に会いたい?」




昼休み、堤君は教室に帰ってくるなり凌に話しかけた。


凌に会いたいって人がいるんだって。




「そ。ヒデって奴なんだけど「いや。めんどくさい」」




すごい……凌、一刀両断ってやつだ。

堤君の言葉、遮っちゃった。


でも………




「ね、凌……会うだけならいいんじゃない?」



「なんで?」



「ヒデさんが可哀想だと思うから……」




そう言うと、ブツブツ言っていた堤君がガバァッと抱きついてきた。




「へ、は、え!!?」



「さすが佳世ちゃんだ──!」



「離れんか、ボケッ」




凌がグイーッと堤君を引っ張って、すぐに引き離されたけど。

と、いじけたように口を尖らせた堤君が口を開いた。




「だってさ、会わせないと佳世ちゃん狙うとか言い出してさ」



「……それは困る」




なにが困るのかわかんないけど、凌は眉間にしわを寄せて黙り込んでしまった。




「凌ちゃん?」



「会うだけでいいのよね?」




堤君がそっと凌の名前を呼ぶと、凌は何かを決めたように顔を上げた。




「え?うん」




「わかった……じゃ、放課後に。私、席戻るね」




そして、凌は小さくため息をついて自分の席へと戻っていった。