「佳世ちゃん、ちょ、落ち着いて……!」



「だっ、しのぐ、しっ……ヤっ」




駆け寄ってきた堤くんの腕の服を引っ張り、何かを言おうとする私。


“だって、凌が死ぬなんてイヤだっ”


こう言いたかったはずなんだけど、声にならない。


そんな私に、堤くんは困惑の表情を浮かべている。




「……えー…と、佳世ちゃん?」



「…っ…ふえ?」



「こんな時にアレなんだけどね?涙目で上目遣いはやめてほしいかな~なんて…」



「……なん、で?」




苦笑いをする堤くんを見つめると、深いため息をつかれて………







「……襲うよ?」







そう言うと、私の腰に腕を回して抱きしめてきた。


…………!!?




「っ、ちょ、堤く…っ!!?」




堤くんは慌てふためく私の肩に顔を埋める。


ど、どうしたら……っ!


さっきまで泣きそうだったのが嘘みたいに、今度は顔が赤くなって固まってしまった私。


か、神様ー!

わたしどうしたらいいですか!