「と、いうわけ!って、先生聞いてた?」



「一応な」



「一応って……」




たばこの火を消しながら俺を見る先生に、怯んでしまう。

なぜかはわからないけど。




「お前が女を信じねぇのは勝手だけど。凌ちゃんはどうすんだ」



「もう、別れた。凌ちゃんもわかってくれたし」



「へぇ?凌ちゃん笑ってたんじゃね?」



「……へ?」




パソコンをたちあげながら的確なことを言う先生に、動揺してしまう。

だってそれは本当だから。
凌ちゃんはずっと笑ってた。
でも………




「それは別に俺と付き合っても楽しくなかったからじゃ「あほか」



「……はあ?」




目はパソコンから離さずに暴言を吐く先生に、俺は眉を潜めた。




「凌ちゃんはお前と同じだ。それがわからねえなら帰れ」




一瞬だけ俺を見た先生の眼は、冷たく鋭くて。

俺はぐっと口をつぐんで立ち上がった。




「っ、じゃ、俺帰るわ」



「あ、帰る前に。あれ」




先生が指さすのはさっきまで俺がいた、雨が降りしきる庭。

怪訝な顔をしながらそこを見た俺は、次の瞬間には驚きの表情に変わっていた。