「さすが凌ちゃんっ!これからも友達としてよろしくっ」



「っ、うんっ!!」




今までに見せたことのないくらいとびきりの笑顔で返す。

そんな私に安心したような顔を見せて、秀弥くんはいつものように口を開いた。




「そろそろ教室行く?ケンたちも待ってるし」



「あー…あたしもう少ししてから行く!先行ってて」




くるりと体ごと後ろに向けながら少しだけ強い口調で言い切る。

すると秀弥くんは小さく“わかった”と言い、校舎へ走っていった。




「……、ばかっ…」




なんで本当に置いていっちゃうのよ……!


秀弥くんがいなくなった途端、さっきまで我慢していたものがポロポロと流れ出てきた。




「さいあく……っ」




自嘲気味に笑ったとき、ポツと顔に水が降ってきた。

つられるように顔をあげると、さっきまで青かった空に暗雲が立ちこめていた。




「………あ、め…」




まるで私の心を表しているかのような雨に、私はその場にうずくまってしまった。

雨が強まる度、比例するように私の涙も強まっていく。



―――誰か


誰か




私、どうしたらいいの……?