うふ、うふふ。

やっちゃいましたよ、俺。

本気と書いてマジと読む勢いで後悔してます、謙吾です。




「はぁ……」



「お前、ため息似合わねえなあ…」



「るせぇっ!てかお前、なんでこんなに近いんだよ」



「ケンをマークすんのが俺の役目だし♪」




何がそんなに楽しいのか、笑いながら言うヒデに多少イラッとしつつ、マークを外そうとする。

一応ね、一応……

ちゃんとしないと俺のクラス怖ぇんだよな。




「謙吾っ!!!!」



「お!よっ…と「あ───!」




パスされたボールを跳んでキャッチすると、聞こえるうるせぇヒデの声。

とりあえずシカトして近くの奴にパスをする。




「…なんでドリブルしねぇんだよ!」



「いや、俺の勝手だろ……」




なんかヒデの相手も、いい加減疲れてきた。

早く終わんねえかな…

そう思っていた時……




「堤くんっ!頑張って!!」



「へ……」




はっきり聞こえた好きな子の声。
パッと見渡せば、少し息を切らしたような佳世ちゃんが目に入った。