「堤くん?どこ行くのっ?」



「んー…保健室」



「ほけん…しつ…?」




少し不審に思いながらも、堤くんに手を引かれてるからついていくしかない。

え、でも、えっ!!!?
このままついて行って大丈夫?

少しだけ頬が火照るのを感じた時、保健室についたらしく堤くんの歩みがピタリと止まった。


―――ガラッ



「…げっ」



「お?謙吾!それに佳世ちゃん!」




保健室のドアを開けた瞬間目に入ったのは、榎本先生……と、仲良くコーヒーを飲む啓太さん。

啓太さんがいるとは思わなかったのか、堤くんは嫌そうな声を出す。




「……兄ちゃん、何してんの…」



「何って……何してんだっけ!?」



「弟を見に来たんだろうが」




真顔で聞いてくる啓太さんに、少し呆れたように言う榎本先生。




「あー、そうそう。謙吾を見に来たんだった」



「はあ?」



「ぷっ……」




眉間にしわを寄せる堤くんを見たら、思わず吹き出してしまった。

瞬間、不思議そうな目の堤くんと目が合う。