「希愛を俺たちに紹介したいって言ってた。今度、連れていくからって。だけど……」
”それから蒼空に会うことはなかった”
その言葉が出ることはなかったけれど、なんとなく、続きはそれだと思った。
「あの日、蒼空が撃たれたって聞いて、俺たち4人は急いで病院に向かったんだ」
みんなとはすれ違わなかったから、私が飛び出したあとだろうか。
「俺たちが病院に着いた時、蒼空は少し意識を取り戻して目を覚ましたんだ」
「えっ……?」
「その時に蒼空が言った言葉なにか分かる?全然俺たちに向けてじゃないの」
少し困ったように眉をハの字にしながらもどこかおかしそうに笑いながら、晴葵の口から紡がれたその言葉は、スローモーションのように聞こえた。
”希愛を頼んだ”
「今まで女の子どころか、俺たち以外に心を開いたことなかった蒼空が、最後に振り絞った言葉がそれだよ」
俺たちの前でそんなこと言うもんだから、少し嫉妬しちゃったよ、なんて冗談交じりで言う晴葵。
知らなかった。
その場にいたであろう碧ちゃんも、雲英さんだってそんなこと一言も言ってなかった。
「だから俺たちはここに来たんだよ。希愛、君を守るために」