階段を登りきったところにあったのは1つの部屋だった。
「まずここにいる人たちから希愛の紹介をさせてほしい」
意を決して頷く。
もちろんピアスをつけている右耳はあらわになったままだ。
どんな反応されるかな。
これを見た瞬間殴られるかな。
「ひーめ。ようこそ我が城へ」
晴葵がドアを開けるより先にドアが開いたかと思えば、そこには聞きなれた声の持ち主が立っていた。
「輝望、くん……」
「びっくりしたー?歩いて来て疲れたでしょ?入って入ってー」
怖いくらいいつも通りの呑気な声と口調で中に通される。
そこには見慣れた顔がもう1人。
「透理くん…」
あと1人、知らない人。
「どーも。俺の名前は四柳吏翔(しりゅう りと)。よろしく」
綺麗な銀髪に染められたその髪はゆるいパーマがかかっていて、片方の耳にかけられていた。
緩いパーマがかかっているのにも関わらず、前髪はするどい目に少しかかっていた。
目で殺すとはこのことか、と思うほどの眼球の持ち主だった。
