「希愛」
「え?」
「希愛でいいよ、晴葵」
「なにそれ、不意打ちズルいね、希愛」
そんな風に言いつつも、表情1つ変えずにすぐ呼び捨てにするものだから、なんとも思ってないんだろう。
それから、さっきまでの沈黙が嘘のように話が絶えず、気が付けば目的地に着いたみたいだ。
目の前に広がっているのは大きな倉庫ただ1つ。
周りにはなにもない。
……やっぱりね。
仮説は大方間違っていないようだ。
「希愛、気づいてるかもしれないけど、今日俺が誘った理由、本命はこっち」
「……うん」
「中にはたくさん男がいるけど、大丈夫?」
「大丈夫だよ」
……慣れてるから。
「見た目はアレだけどみんないい奴らだから」
……アレ、とはなんだろうか。
そんな疑問をよそに晴葵は中へと入っていく。
倉庫は大きいし、なんせ”敵地”なわけだから、はぐれるわけにはいかない。
慌てて晴葵に置いて行かれないようについていく。
