「あのさ、翠咲く……」
「妃夢乃さん、この後予定ある?」
私の言葉を遮るように翠咲くんはそう言った。
目を逸らすことをさせない真っ直ぐな瞳で私を捉えて。
「……ううん、空いてるよ」
「よかった。ちょっと着いてきてほしいところがあるんだ」
爽やかだと思っていたその笑みは、今では何を考えているのか分からない笑みに変わっていた。
それからは、大人しく翠咲くんの後ろを着いて行った。
少し歩いた時、翠咲くんが突然止まったものだから釣られて私も足を止める。
もう着いたのかな……?
「妃夢乃さん、隣おいで。後ろにいられると守れないから」
そういいながら手招きをしている翠咲くん。
私は守られるような存在じゃないんだけどな。
それでも一向に進む気配がないので、仕方なしに走って隣に並ぶ。
「ふは、可愛いね、妃夢乃さん」
「??」
今どこらへんに“可愛い”があったのかな。
分からなくて自然と首を傾げる。
「わからない、って顔してるね。ちょこちょこ走りながら俺の隣くるの、可愛いなぁって」
……ほんと、調子狂う。
そんな風に思ってもらうために走ったんじゃないのに。
「あ、ねぇ、妃夢乃さん」
