大馳さんの手がどんどん近づいているのが分かる。
私は覚悟して目をギュッと瞑った。
そしてその大きな手は、私の頭をゆっくりと私の頭を撫でた。
その手はとても優しくて、とても暖かかった。
思わず顔を上げると、とても柔らかく、優しい表情をした大馳さんが微笑んでいた。
「なんで……っ」
なんで、怒らないの。
なんで、殴らないの。
なんで、そんな穏やかな顔をしていられるの。
なんで…っ、私をそんな目で見てるの……っ?
色んな感情が、言葉が、頭の中をぐちゃぐちゃにしてるおかげで、私の顔はとてもひどくなっているであろう。
その反対に大馳さんの顔はどこかスッキリしていて、それでいて、優しく微笑んでいた。
「希愛ちゃん。俺“たち”誰も希愛ちゃんを恨んだりとか、責めたりするつもりないんだ。むしろ、君だけでも生きていてくれてよかった」
その言葉に嘘偽りが一切ないことがわかる。
私を安心させるように撫でてくれている手が心地よくて、自然と涙が零れ落ちる。
類は友を呼ぶ、ってあの日も思ったけど、今日もまたそう思った。
広くて暖かい心を持っている蒼空の周りには、やっぱりそういう人が集まっているのかな。
どうしてそんな笑顔で、生きていてくれてよかった、だなんて心の底から言えるのだろう。
蒼空にも蒼空の家族たちにも挨拶をしなかった非常識な私のことを。
