必ず守るから、だから、笑って



名前で呼ばれるのは好きじゃない。



今では碧ちゃんにしか呼ばせてない。


洛さんには最初からずっと当時の通り名で呼ばれてる。



だって、忘れてしまいそうで怖いから。


色んな人の声が混ざって、蒼空が「希愛」って呼んだあの声が遠のいていってしまうのが怖いから。




だから桃優にでさえ呼ばせてないんだ。



それなのに。



なぜだかこの人にならいい、と思ってしまった。


そんなこと思ったら蒼空に怒られてしまうだろうか。



「お待ちどーさま。これオマケね」


頷きかけたその時、目の前にとても美味しそうなオムライスが2つ並べられた。


そして、その横には……。



「マスカットの、タルト……」



「晴葵にはこのチョコケーキな。好きだろ?」


「めっちゃ好きですっ!ありがとうございます!」



その2つのケーキが視界いっぱいに広がって、あの日の記憶が次々と思い出される。



……どうして、記憶から抜け落ちていたんだろうか。



あの日は色々ありすぎて忘れてしまっていたのだろうか。



いや、新堂への恨みを忘れない為に楽しかった記憶は頭の奥底へと仕舞われていたのかな。