「あ、妃夢乃さん。着いたみたいだよ」
他愛もない会話をしていたらいつの間にか目的地に着いたようで。
目の前にはとても可愛い建物があった。
“オムライス専門店”と小さく書かれた下にはオシャレな字体で大きく“ciel&soleil”と書いてある。
おそらくそれがこのお店の名前なんだろうけど、なんて読むんだろう。
英語じゃなさそう。
「シエル&ソレイユって読むんだ」
読めないことに気づいてくれたのか、翠咲くんが教えてくれた。
どういう意味なんだろう。
なんだか無性に気になって、帰ってから調べようと思った。
「さ、お腹も空いたことだし、中入ろっか」
翠咲くんに続いて店内へと足を踏み入れる。
私の運命が変わることも知らずに。
店内は木の香りが心地よい、モダン調のデザインが施されていた。
落ち着くこの雰囲気の中で珈琲を嗜むのは最高だろうな。
「晴葵、いらっしゃい。ん?そちらの子は?」
「あ、妃夢乃希愛です。初めまして」
「希愛…ちゃん、か。うん、こんにちは。どうぞゆっくりしていってね」
翠咲くんの知り合いらしい店員さんは、何か珍しいものでもみたかのような、そんな目で私を見ていた。
なにか気に触ることしてしまったかな?
