「うわっ!“当たり”じゃん!」
「おねーさん、涙目上目遣いって誘ってんのー?」
どうやら男2人の頭はこの暑さでやられているようだ。
今すぐにでも気絶させてやりたいところだけど、駅ということもあり、人は大勢いる。
騒ぎを起こして目立つ、なんてもっぱらごめんだ。
いっその事着いて行って人気のないところで返り討ちにした方が賢そうだ。
人が来る前に実行した方がいい。
仕掛けるか。
「ねぇー…」
「ぐはっ、」
「えっ?」
一瞬の出来事だった。
目の前にいた男たちはいつの間にか地面にのびていた。
変わりにそこに立っていたのは爽やかな笑みを浮かべた翠咲くんだった。
「遅くなってごめんね、妃夢乃さん。怪我はない?怖かったよね」
屈みながら手を出してくる翠咲くんの方が怖いです。
なんて言えるはずもなく。
「え、ええと…?」
「あ、ごめんね。なぜか女の子たちに囲まれちゃって、遅くなっちゃった」
……いや、そんなこと聞いてないです…。
どこからどうみれば助けが遅れた理由を問いただしてるようにみえたのかな。
