結局、トップスはぴったりとしたワンオフショルにして、パンツは少しダメージの入った黒のハイウエストスキニーパンツにした。
このトップスは袖が少し拡がっている上に、2段になって色が変わっていてすごく可愛い。
髪はいつも通りストレートにした。
ママとパパに挨拶をし、玄関の鏡に映る自分を見る。
学校はピアスが禁止のため、いつも見えないように髪を下ろしているのだけど、今日は休日だから、と右側だけ髪を耳にかけている。
そのおかげで今まで隠していたピアスがあらわになっている。
「蒼空色だ……」
思わず呟いたその言葉とは裏腹に鏡に映る私の顔は曇っていた。
「いってきます」
なんだか虚しい気持ちを抱えたまま、急いで家を出た。
集合時間5分前。
急いで出たのもあってか、駅に到着することができた。
そして駅の前にある、噴水の近くにはたくさんの女の子が群がっていた。
嫌でもわかる。
おそらくあそこに翠咲くんがいる。
かといって、あの輪の中に入りたくもない。
願わくばその子たちとオムライスを食べに行ってくれないか、と思ってしまうのは薄情者だろうか。
……仕方ない。
とりあえず知らなかったフリをして待っておくか。
近くにあったベンチに腰をかけ、空を仰ぐ。
今日も綺麗な空。
その色はとっても澄んでいて、真っ直ぐで、どこまでも広い空。
蒼空は名前の通りの人だったなぁ。
涙が溢れそうになるのを堪え、うつむきながらピアスを触る。
蒼空、ピアス返さなかったこと怒ってるかな。
どうしても会いに行けなくて、通夜にも葬儀にも行けてない。
1度もお線香を上げに行けてないし、お墓参りにも行ってない。
ご家族に、謝罪しないといけないことも、ピアスを返さないといけないことも、会わないといけないことも、全部全部頭ではわかっているのだけど、できない。
現実を受け入れられないとか、罪悪感とか、そんなのはただの言い訳で。
