「翠咲く、」
言いかけたその言葉を遮るように、大きな手が私の頭を撫でた。
それはそれはとても優しく、壊れものを扱うかのように。
息をすることも忘れてしまいそう。
「可愛いね、妃夢乃さん」
「かっ、!?」
予想外のその言葉に思わず目を見開く。
なんなの!?
この人、さっきから確信犯なの、天然なの、どっちなの!?
そんなこと言われたのなんて何年ぶりか分からない。
最後に言われたのは、碧ちゃんに制服を見せた時だった気がする。
しかも中学校の。
「ちょっとー。2人だけの世界に入らないでくれるー?」
あからさまに軽蔑した目をこちらに向けてくる輝望くん。
いや、こっちだってそうしたくてそうなってるわけじゃないんだよ。
むしろそんな冷めた目で見てる暇があったなら助けてほしい、と思ったほどだ。
それが、性格悪い輝望くんであったとしても、だ。
翠咲くんは私のペースを乱してくる。
ペースを乱されるのは好きじゃない。
計画通りにいかなくて、次になにをしてくるのかわからないから。
